2.労働時間を把握する際の留意点
 (1)労働時間の原則的な把握方法
多くの企業では、出勤簿に押印することやタイムカードに打刻することで出勤の
有無や労働時間を把握していますが、厚生労働省が出している「労働時間の適正
な把握のために使用者が講すべき措置に関する基準」(以下、「通達」という)では、
始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法を次のいずれかと定めています。
@使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
Aタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
@の自ら現認するという意味は、事業主や労働時間管理を担当する者が、直接
始業時刻や終業時刻を確認することであり、現実的には全ての就業日について現
認することは困難なケースが多いでしょう。従って、Aのようにタイムカードなどで記
録をすることが原則的な取扱となります。
(2)自己申告制による労働時間管理を行う際の留意点
上記の方法によらず、従業員自身の申告に基づかざるを得ないケースも考えら
れます。このように自己申告制をとる場合には、曖昧な労働時間管理になることを
防ぐために次のような措置を講ずることが求められています。
@自己申告制を導入する前に、その対象となる従業員に対して、労働時間の実態を
正しく記録し、適正に自己申告を行うなどについて十分な説明を行うこと。
A自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについ
て、必要に応じて調査を実施すること。
B従業員の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設
定する等をしないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労
働手当の定額払等の措置が、従業員の適正な申告を阻害する要因となっていないか
を確認するとともに、必要に応じて改善すること。
自己申告制による労働時間管理も認められていますが、できるだけ客観的な労働時
間把握ができるタイムカードの導入を行い管理を進めていきたいところです。
36協定の限度時間を超えていたり1ヶ月当たりの時間外労働時間数が60時間を超え
ている従業員がいないか、チェックをしその要因を確認した上で業務分担を見直すな
ど対策を打っていくことが求められます。
■参考となるリンク先
厚生労働省「平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034xn0.html
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/070614-2.html