★ 定期健康診断の実施について
過重労働とそれに起因する健康障害が大きな問題となっていることから労働基準行政
においても労働者の健康確保に力を入れています。労働基準監督署の調査において
は衛生管理者の専任や衛生委員会の設置に関することだけでなく、健康診断の実施
状況や実施後の措置についても指摘されることが増えています。今回は、法律により
実施が求められている定期健康診断についてご説明します。
1.健康診断の実施対象者について
定期健康診断の実施対象者は、雇い入れ時の健康診断と同様に常時使用する労働
者を対象にしており、正社員だけでなくパートやアルバイトであっても次のいずれの要件
にも該当する場合には実施する必要があります。
@期間の定めのない者や契約期間が1年以上の者、契約の更新により1年以上使用
されることが予定されている者、既に1年以上引き続き使用されている者
A1週間の労働時間数が、その事業上の通常の労働者の1週間の所定労働時間の
4分の3以上であること
2.健康診断の実施項目
次の11項目が実施しなければならない項目です。なお、医師が必要でないと認める
ときには省略することができる項目もあります。
ア.既往歴及び業務歴の調査
イ.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
ウ.身長、体重、胸囲、視力及び聴力の検査
エ.胸部エックス線検査及び喀痰検査
オ.血圧の測定
カ.尿中の糖及び蛋白の有無の検査
キ.貧血検査
ク.肝機能検査(GOT、GPT、γ−GTP)
ケ.血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
コ.血糖検査
サ.心電図検査
3.健康診断実施後の措置
健康診断を実施した後は、その結果を記録しておく必要があり、定期健康診断につい
ては「健康診断個人票(様式第5号)」を作成し、これを5年間保存しておくことが義務づけ
られています。また、事業所単位において常時50人以上の労働者を使用している場合
健康診断実施後、遅滞なく定期健康診断結果報告書(様式第6号)を所轄の労働基準
監督署に提出することになっています。
また、健康診断の結果、異常の所見が認められた場合、医師からの意見聴取を実施
する必要があります。就業上の措置に関してその必要性の有無や講ずべき措置の内容
に関して医師に意見を聴くことになっており、その意見を健康診断個人票に記載してお
くことが必要です。